腸内にある悪玉菌が腐敗物質を発生させて、それが腸壁から体の中に吸収されて血液を介して全身をめぐります。そして汗や皮脂と一緒に腐敗物質も皮膚から体外へ出ていきます。その際に腐敗物質が肌の刺激となって肌荒れが起こるという仕組みです。腸内の悪玉菌が代謝の過程で産生される成分の一つに「フェノール類」があります。フェノール類は腸から吸収されて血液の中に入り全身をめぐって多くは尿として排出されるのですが、一部が血液を介して皮膚まで到達します。そこで腐敗物質が刺激となり、肌荒れや肌トラブルが起きるというわけなのです。腸内の悪玉菌が作る腐敗物質(フェノール類等)は、腸管から体内に吸収され肌に悪影響を及ぼすことが、最新の研究で明らかにされています。女神菌生産物質で、美肌に悪影響を及ぼすSP物質の抑制試験を実施し、美肌と腸内環境の繋がりを、また一歩科学的に証明する事ができました。
SPとは…Skin Probleの頭文字
女神菌生産物質をフェノール産生菌(M.M菌)へ添加し、フェノール産生菌の増殖作用およびその菌は産生するフェノール量への影響を検討した。結果、女神菌生産物質は濃度依存的にM.M菌の増殖を抑制させ、この菌が産生するフェノール量も減少させた。女神菌生産物質はSP産生(フェノール)を抑制する作用をもつことが示唆された。
はじめに
コロナ禍の中で人々の免疫賦活に対する関心はますます高まっている。免疫力は全ての疾病予防の根幹であり健康維持の鍵を握るもので、ここ数年は「乳酸菌と免疫」がクローズアップされる機会が増え、少しずつ免疫を意識する人は増えていた。弊社ではより強力な免疫活性物質を求め、それぞれ単独でも免疫活性のある乳酸菌生産物質と酢酸菌LPSを合わせ自然免疫応用技研との共同試験で免疫活性試験を行ったところ、相乗効果でこれまでにない高い免疫活性効果が見られたので、ここに報告する。
1.女神菌とは
使用する女神菌は、数百種の中から厳選した乳酸菌・ビフィズス菌23種・23株の混合物で、これを国産の有機大豆で作った独自の豆乳様培地で共棲培養することで、菌そのもののプロバイオティクス効果、培地の大豆が発酵して得られる大豆オリゴ糖や食物繊維などのプレバイオティクス効果、乳酸菌が作る生産物質のバイオジェニックス効果のトリプルのシンバイオティクス効果を持つ物質が得られる。一方の「LPS」は植物原料を酢酸菌で発酵して得られるグラム陰性菌の細胞壁構成成分(リポ多糖:lipopolysaccharide)で、自然免疫を制御し健康の維持増進や組織修復の関わっている成分。それぞれが単独でも腸管免疫の制御に関わり自然免疫の活性化に役立つと見られるが、この2つの成分を同時に摂取すると、さらに有用な効果が得られるのではないかということで今回行った試験結果を下記に紹介する。
2. 酢酸菌LPSと女神菌生産物質の相乗効果評価
今回の試験では酢酸菌LPSと女神菌生産物質の相乗効果を見るため、自然免疫活性の指標である一酸化窒素(NO)産生をin vitroで測定した。NOはウイルス、微生物、がん細胞などに対する生体の防御作用に関与しており、マクロファージ系細胞が活性化されるとNO産生量が増えるため、NO産生量が免疫活性化の指標となる。試験では、まずLPSと女神菌生産物質単独のマクロファージ活性化(NO産生)能を測定し活性が認められる用量を確認。単独では酢酸菌は10〜10,000µg/mlで、女神菌生産物質は30〜10,000µg/mlで濃度依存的な亜硝酸(Nitrite)濃度の増加が認められた。次に相乗効果を見るため、酢酸菌LPSを3、10、30、100µg/ml、女神菌生産物質を3、10、30、100、300µg/mlの組み合わせでNO産生量を測定した。それぞれの単独評価でも細胞増殖阻害は見られなかったが、女神菌生産物質と酢酸菌LPSを組み合わせた場合でも細胞増殖阻害活性(MTSアッセイによる)は認められなかった。酢酸菌LPS3µg/mlと女神菌生産物質10〜300µg/mlの組み合わせ、酢酸菌LPS10µg/mlと女神菌生産物質3~300µg/ml、酢酸菌LPS30µg/mlと女神菌生産物質3〜300µg/ml、酢酸菌LPS100µg/mlと女神菌生産物質3〜100µg/mlの組み合わせではそれぞれ相乗効果が見られ、単独の1.5倍以上NO産生の上昇している試験区も見られた。酢酸菌LPSと女神菌生産物質のNO産生の相乗効果が認められたことにより、他の免疫活性化因子、例えば代表的なサイトカインであるTNF-aやIL-12などの産生についても相乗効果が期待される。
考察
それぞれ単独でも免疫活性のある女神菌生産物質と酢酸菌LPSを合わせて自然免疫応用技研(株)との共同試験で免疫活性試験をおこなったところ、これまでにない安定的に1.5〜1.6倍の相乗効果が認められた。(食品と開発Vol.56素材サポートより)
女神菌生産物質と酢酸菌LPSをいくつかの配合割合で試験した結果、単体よりも組合わせた場合に相乗が発揮されていることが読み取れた。資料出典:自然免疫応用技研(株) 試験番号20-135資料より
概要
女神菌生産物質を用いて、表皮ブドウ球菌Staphylococcus epidermidisの増殖作用に及ぼす影響について評価した。その結果、女神菌生産物質の表皮ブドウ球菌に対する高い増殖効果が確認され、またその効果は皮膚常在菌バランスを調節することで有名な市販原料よりも高いことが、明らかとなった。
背景と目的
皮膚には腸内と同様に多くの常在菌が存在しておりその数は約1000種とも言われている。皮膚常在菌は指紋のように一人ひとり種類や数が異なっており、例えばある種の菌では肌の潤いを生み出したりバリア機能を高めたりする一方、表皮角化細胞に対して強い細胞毒性を示し、肌のバリア機能破壊を促進させることで、敏感肌を誘発させたりする菌も存在する。従って、肌の状態を良好に保つためには、これら皮膚常在菌のバランスを整えることが重要である。そこで、今回我々は皮膚常在菌の中でも、特に肌の善玉菌とも言われる表皮ブドウ球菌に着目し、女神菌生産物質を主成分とした女神菌生産物質を用いた、表皮ブドウ球菌増殖作用に及ぼす影響について評価することを目的とした。
評価方法
本培養24h後の培養液における濁度から本培養開始直後の濁度を差し引いた濁度変化量と、本培養24h後の培養液における生菌数カウントにて評価した。なお、生菌数カウントは適宜滅菌水で希釈した培養液をSCD寒天培地上に塗末して行った。
○試験スケジュール
結果
各種サンプルにおける濁度変化量をFig.1、生菌数カウントの値をFig.2、生菌数カウントした際のSCD 寒天培地の様子をFig.3に示す。各種サンプルの濁度変化量及び生菌数カウントの結果、女神菌生産物質が両指標において一番高い効果を示し、さらに濃度依存的にその効果が増加した。
考察
女神菌生産物質による表皮ブドウ球菌増殖作用に及ぼす影響についての評価を行った結果、女神菌生産物質は高い表皮ブドウ球菌増殖作用を示し、その効果は皮膚常在菌バランスを調節することで有名な市販原料よりも高くなった。市販原料はグルコオリゴ糖を粉末化した原料であり、そのもの自身が表皮ブドウ球菌にとっての栄養源となることや黄色ブドウ球菌の皮膚付着を阻害する効果が知られていることから、美肌菌を訴求する製品にもよく使用されているが、今回の我々の評価においてはその効果は確認されなかった。一方、女神菌生産物質では顕著な増殖作用が確認されたがこれらは発酵過程で生じ糖やアミノ酸、ビタミン類などの種々の代謝成分が表皮ブドウ球菌に対する栄養源となって複合的に働いたことによるものだと推察される。最後に、表皮ブドウ球菌はセリンプロテアーゼと呼ばれるタンパク質分解酵素を分泌し、アトピー性皮膚炎の原因菌となる黄色ブドウ球菌の増殖を抑制する働きがあることが報告されている。また、最近ではこの菌を人工的に培養し、就寝前に週2回、4週に渡って肌に塗布すると肌の脂質が増加し、結果水分の蒸発が抑えられて肌の保湿力が保たれるという報告もある。このように、表皮ブドウ球菌は我々の肌に対して有用な働きを行うことから、別名「美肌菌」とも呼ばれ、肌の善玉菌と認識されている。今回の試験結果から、女神菌生産物質にはそれぞれ高い表皮ブドウ球菌増殖作用が確認されたことから、肌の善玉菌を育てることによる高い保湿効果が期待される。
参考文献
1)ロート製薬株式会社 秋山尚範 岩月啓氏 亀高茂黄色ブドウ球菌の皮膚付着を阻害し、かつ、表皮ブドウ球菌の皮膚付着を促進させる剤 特許第4509517号. 特開 20052087 2) Kremling, A. et al.Understanding carbon catabolite repression in Escherichia coli using quantitative models. Trends Microbiol., 23, 2 (2015). 3) Iwase T, Uehara et al.Staphylococcus epidermidis Esp inhibits Staphylococcusaureus biofilm formation and nasal colonization. nature. 2010 May20;465(7296):346 9 4)Nodake Y Matsumoto S,et al. Pilot study on novel skin care method by augmentation with Staphylococcus ep idermidis, an autologous skin microbe A blinded randomized clinical trial. Journal of Dermatological Science 79 (2015)119 126
概要
エクソソームとは様々な細胞が分泌する遺伝子情報(mRNA、miRNAなど)が含まれている直径100nmほどの小胞である。エクソソームは隣り合った細胞だけではなく、遠い細胞にも情報を届け、細胞間の情報伝達に重要な役割を担っている。皮下組織に存在する脂肪幹細胞は自己複製能及び多分化能を持つ間葉系幹細胞の一種である。脂肪由来ヒト間葉系幹細胞から分泌されるエクソソームが皮膚に存在する細胞に取り込まれると、その細胞の機能を制御する。表皮細胞においてはバリア機能の回復、また真皮線維芽細胞においては細胞の増殖およびコラーゲンの産生を促進するといった様々な機能を発揮する。さらに、脂肪由来ヒト間葉系幹細胞から分泌されるエクソソームが細胞の老化抑制作用も有することが報告されている。従って、脂肪由来ヒト間葉系幹細胞を活性化させることによって、エクソソームが多く分泌され、エクソソームを介する抗シワやたるみ改善及び老化抑制といった若返りのアンチエイジング効果を期待することができる。
評価方法
評価試料:女神菌生産物質
評価試験項目:
1)細胞増殖能の確認
2)培養上清中のエクソソームの定量
試験1:細胞毒性試験
結果
1.脂肪由来ヒト間葉系幹細胞の増殖能
脂肪由来ヒト間葉系幹細胞を用いた細胞増殖試験の結果、女神菌生産物質は濃度依存的に肌幹細胞増殖を促進させることが示された。女神菌生産物質は脂肪幹細胞自体を増やす効果を有することが確認できた。
2.エクソソームの産生促進作用
脂肪由来ヒト間葉系幹細胞を女神菌生産物質添加培地で培養した後、その培養上清を回収した。培養上清中のエクソソーム特異的マーカーであるCD9及びCD63を用いて評価した。その結果、女神菌生産物質は脂肪幹細胞へ作用し、エクソソームの産生に促進効果を有することが示された。
まとめ
女神菌生産物質は脂肪幹細胞に働きかけ1幹細胞増殖促進効果と2直接に脂肪幹細胞へ作用しエクソソームの産生を促進するというW効果があることが評価された。
はじめに
人の免疫は、害を与える微生物などに対して働き、病気を軽く済ませてくれたり、発症を未然に防いでくれたりします。この病気の発症は、微生物の悪さをする力と免疫力のバランスが崩れた時に生じるのです。このバランスを免疫力優位にしておく必要があります。その方法の1つが、口腔ケアです。口の中には、細菌が沢山いて常在細菌といって、体を守る働きを示すものもありますが、悪さをする細菌もいます。この悪さをする細菌やウイルスを減らすことが大切です。細菌の塊であるプラークは、歯磨きをしないと落とすことはできません。口の中には、もう1つ細菌の塊があります。それは舌の表面についた舌苔です。これらの細菌を口腔ケアにより減らすことで、口腔の免疫が十分に働くことができるようになるのです。口腔の免疫は、IgA(免疫グロブリンA)という抗体が働き、害を及ぼす微生物を排除してくれる粘膜免疫というシステムで実行されています。しかし、このIgAも口の中が汚れていれば、敵が多すぎて、防衛が難しくなってしまうのです。そこで産学共同研究を行いましたので女神菌生産物質配合歯磨きジェル使用によるオーラルケアの検証報告を記します。
実験計画 in vivo
市販の歯磨き粉とDENTAL GELでの一定期間歯磨き
使用頻度1日3回毎食後
使用期間2週間
検査項目
IgA定量:唾液中の分泌型IgA定量
唾液pH測定:唾液中のpH測定
・使用器具:歯ブラシ:クリニカアドバンテージ歯ブラシ4列コンパクト
・1回の使用量:歯ブラシのヘッド部分に1cm程度を使用し、ブラッシング
・昼食後に歯磨きを行い、歯磨きから60分後のタイミングで採取
唾液中分泌型IgA抗体価の定量
ELISA法による分泌型IgA抗体価の定量
サンドイッチELISA法
採取した唾液
・使用抗体
(1) Primary antibody:Anti-IgA(α),Human,Goat-Poly
(2) Secondary antibody:Anti-lgA,Human,Goat-Poly,HRP
(3) Calibrator:IgA,Human
DENTALGELの使用前~使用一週間後の唾液分泌型IgA抗体産生量の評価を実施した
考察
女神菌生産物質配合歯磨きジェル使用期間中に唾液中の総IgAが増加した。
➡継続使用で口腔内免疫が高まる可能性が示唆された。
女神菌生産物質配合歯磨きジェル使用後の唾液pHの変化
➡市販歯磨き粉使用時と比較して差はなかった。